Bluetooth ベースバンド (Bluetooth Baseband)
概要
Bluetooth ベースバンドは、Bluetooth システムの一部であり、Bluetooth デバイス間のメディア アクセスと物理レイヤの手順を規定または実装します。
2 台以上のデバイスが、1 つのピコネットの同じ物理チャネルを共有しています。一方の Bluetooth デバイスがピコネットのマスターとして動作し、それ以外のデバイスがスレーブとして動作します。ピコネットで動作できるスレーブは、7 台までです。この他、さらに多くのスレーブがパーク モードで接続を維持できます。

スレーブ 1 台 (a)、スレーブ複数台 (b)、スキャッタネット (c) のピコネット
パケット
データはパケットで無線伝送されます。シンボル レートはどの変調スキームでも 1 Msps です。無線の総計データ レートは、基本レートで 1 Mbps です。
 標準基本レートのパケット形式
拡張データ レートには、無線の総計データ レートが 2 Mbps のプライマリ変調モードと 3 Mbps のセカンダリ変調モードがあります。
 標準拡張データ レートのパケット形式
Bluetooth クロック
すべての Bluetooth デバイスには、フリーランニング システム クロックから派生するネイティブ クロックが備わっています。他のデバイスと同期するためにオフセットが使用されます。このオフセットをネイティブ クロックに加算して、相互に同期する一時的な Bluetooth クロックが提供されます。
Bluetooth デバイスのアドレス指定
各 Bluetooth デバイスには、IEEE Registration Authority から取得した固有の 48 ビット Bluetooth デバイス アドレス (BD_ADDR) が割り当てられます。
アクセス コード
Bluetooth システムでは、物理チャネルを介するすべての伝送がアクセス コードで開始されます。次の 3 種類のアクセス コードが定義されています。
- デバイス アクセス コード (DAC)
- チャネル アクセス コード (CAC)
- 照会アクセス コード (IAC)
物理チャネル
物理チャネルの定義
物理チャネルは、擬似ランダム RF チャネル ホッピング シーケンス、パケット (スロット) タイミング、およびアクセス コードで定義されます。ホッピング シーケンスは、Bluetooth デバイス アドレスと、選択されたホッピング シーケンスによって決まります。ホッピング シーケンスのフェーズは、Bluetooth クロックによって決まります。すべての物理チャネルは、複数のタイム スロットに再分割されます。その長さは、物理チャネルによって異なります。
基本ピコネット物理チャネル
基本ピコネット物理チャネルは、ピコネットのマスターによって定義されます。マスターは、ポーリング スキームを利用してピコネット物理チャネルのトラフィックを制御します。
定義により、ページングで接続を開始するデバイスがマスターになります。ピコネットが確立された後は、マスターとスレーブの役割を交換できます。
基本ピコネット物理チャネルは、長さが 625 μs のタイム スロットに分割されます。
適合ピコネット物理チャネル
適合ピコネット物理チャネルは、適応型周波数ホッピング (AFH) が有効なデバイスの接続に使用できます。基本ピコネット物理チャネルと適合ピコネット物理チャネルの間には 2 つの特徴があります。1 つは、スレーブの周波数を、先行するマスター伝送と同じにする同一のチャネル メカニズムを備えていることです。もう 1 つは、適合ピコネット物理チャネルが、基本ピコネット物理チャネルの完全な 79 周波数帯よりも少ない周波数帯に基づくことができる点です。
ページ スキャン物理チャネル
マスターとスレーブの役割が接続前に定義されることはありませんが、マスターという用語はページング デバイス (接続状態でマスターになる) に対して使用され、スレーブはページング スキャン デバイス (接続状態でスレーブになる) に対して使用されます。
ページ スキャン物理チャネルは、基本ピコネット物理チャネルよりも低速なホッピング パターンに従い、RF チャネル間の擬似ランダム ホッピング シーケンスが短くなります。
照会スキャン物理チャネル
マスターとスレーブの役割は接続前に定義されることはありませんが、マスターという用語は照会側デバイスに対して使用され、スレーブは照会スキャンを実行するデバイスに対して使用されます。
照会スキャン チャネルは、ピコネット物理チャネルよりも低速なホッピング パターンに従い、RF チャネル間の擬似ランダム ホッピング シーケンスが短くなります。
ホップ選択
合計 6 種類のホッピング シーケンスが定義されます。そのうち 5 種類が基本ホップ システム用で、残りの 1 種類が適応型周波数ホッピング (AFH) で使用される、ホップ位置の適合セット用です。これら 6 種類のシーケンスは次のとおりです。
- 79 MHz 全体にわたり期間長 32 で均等に分配される 32 個のウェイクアップ周波数を持つページ ホッピング シーケンス。
- 現在のページ ホッピング シーケンスに対して 1 対 1 の対応関係にある 32 個の応答周波数を対象とした、ページ応答ホッピング シーケンス。マスターとスレーブは異なる規則に従って同じシーケンスを取得します。
- 79 MHz 全体にわたり期間長 32 で均等に分配される 32 個のウェイクアップ周波数を持つ照会ホッピング シーケンス。
- 現在の照会ホッピング シーケンスに対して 1 対 1 の対応関係にある 32 個の応答周波数を対象とした、照会応答ホッピング シーケンス。
- 非常に長い期間長を持つ基本チャネル ホッピング シーケンス。短時間間隔内に繰り返しパターンがなく、79 MHz 全体にわたり短時間間隔中にホップ周波数を均等に分配します。
- 基本チャネル ホッピング シーケンスから派生する適合チャネル ホッピング シーケンス。同じチャネル メカニズムを使用し 79 周波数帯よりも少ない周波数帯を使用できます。適合チャネル ホッピング シーケンスは基本チャネル ホッピング シーケンスの代わりとしてのみ使用されます。その他すべてのホッピング シーケンスはホップ シーケンスの適合の影響を受けません。
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物理リンク
物理リンクとは、デバイス間のベースバンド接続のことです。物理リンクは、正確に 1 つの物理チャネルと関連付けられます。物理リンクには、リンク上のすべての論理トランスポートに適用される共通のプロパティがあります。一般的なプロパティは次のとおりです。
- 電力制御 (Power control)
- リンク監視 (Link supervision)
- 暗号化 (Encryption)
- チャネル品質駆動型データ レート変更 (Channel quality-driven data rate change)
- マルチスロット パケット制御 (Multi-slot packet control)
論理トランスポート
マスターとスレーブ間で、異なる種類の論理トランスポートを確立できます。次の 5 種類の論理トランスポートが定義されています。
- 同期接続指向 (SCO) 論理トランスポート
- 拡張同期接続指向 (eSCO) 論理トランスポート
- 非同期接続指向 (ACL) 論理トランスポート
- アクティブ スレーブ ブロードキャスト (ASB) 論理トランスポート
- パーク スレーブ ブロードキャスト (PSB) 論理トランスポート
論理リンク
次の 5 種類の論理リンクが定義されています。
- リンク制御 (LC)
- ACL 制御 (ACL-C)
- ユーザー非同期/アイソクロナス (ACL-U)
- ユーザー同期 (SCO-S)
- ユーザー拡張同期 (eSCO-S)
制御論理リンクの LC と ACL-C は、それぞれリンク制御レベルとリンク マネージャ レベルで使用されます。ACL-U 論理リンクは、非同期またはアイソクロナスのユーザー情報を伝送するために使用されます。SCO-S および eSCO-S 論理リンクは、同期ユーザーの情報を伝送するために使用されます。LC 論理リンクはパケット ヘッダーで伝送され、その他すべての論理リンクはパケットのペイロードで伝送されます。ACL-C および ACL-U 論理リンクは、ペイロード ヘッダーの論理リンク ID、LLID、フィールドで示されます。SCO-S および eSCO-S 論理リンクは同期論理トランスポートのみで伝送され、ACL-U リンクは一般的に ACL 論理トランスポートで伝送されます。ただし、SCO 論理トランスポートの DV パケットのデータで伝送されることもあります。ACL-C リンクは、SCO または ACL の論理トランスポートで伝送されることもあります。
パケット
汎用基本レート パケットは、アクセス コード、ヘッダー、およびペイロードの 3 つのエンティティで構成されます。
汎用拡張データ レート パケットは、アクセス コード、ヘッダー、保護期間、同期シーケンス、拡張データ レート ペイロード、トレーラーの 6 つのエンティティで構成されます。アクセス コードとヘッダーは基本レート パケットと同じ変調スキームを使用するのに対し、同期シーケンス、拡張データ レート ペイロード、およびトレーラーは拡張データ レート変調スキームを使用します。保護期間により、変調スキーム間での移行が可能になります。
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ピットストリーム処理
無線インタフェースを介してペイロードが送信される前に、信頼性と安全性を向上させるため、複数のビット操作がトランスミッタで実行されます。HEC がパケット ヘッダーに追加され、ヘッダー ビットがホワイトニング用ワードでスクランブル処理されて、FEC コーディングが適用されます。受信側では、これと逆の処理が実行されます。
リンク コントローラの動作

左図は、リンク制御で使用されるさまざまな状態を示しています。主な状態は、待機 (STANDBY)、接続 (CONNECTION)、パーク (PARK) の 3 種類で、他に下位の状態としてページ (page)、ページ スキャン (page scan)、照会スキャン (inquiry scan)、マスター応答 (master response)、スレーブ応答 (slave response)、および照会応答 (inquiry response) の 7 種類があります。下位の状態は、接続の確立やデバイス検索の有効化に使用される中間状態です。1 つの状態または下位の状態から別の状態に移動するには、リンク マネージャからコマンドが使用されるか、リンク コントローラの内部信号が使用されます (相関器からのトリガー信号やタイムアウト信号など)。
オーディオ
無線インタフェースでは、64 kb/s の log PCM (Pulse Code Modulation) 形式 (A-law または μ-law) が使用されるか、または 64 kb/s の CVSD (Continuous Variable Slope Delta Modulation) が使用されます。後者の形式では、音節圧伸を利用して適応デルタ変調アルゴリズムが適用されます。ライン インタフェースの音声コーディングは、64 kb/s の log PCM の品質と同等以上の品質を確保するよう設計されています。以下の表は、無線インタフェースでサポートされている音声コーディング スキームをまとめたものです。
音声コーデック
| リニア |
CVSD |
| 8 ビット対数 |
A-law |
| μ-law |
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